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2006年 3月27日

“社会に貢献する”気持ちを忘れずに - 【キャラウエイドットコム】林正佳様

オークションで手応えを得て

【キャラウエイドットコム】林正佳様

 今回ご紹介するのは、「折りたたみ自転車」「マウンテンバイク」 を中心とした品揃えを行い、ユーザーからの支持を得ている 【キャラウエイドットコム】 のWebマスター林正佳様だ。同店の母体は自転車パーツの製造業者であり、製造業者が関連商品を仕入れて新たにBtoCサイト運営を開始した形となる。商品を販売するだけではなく、安全に楽しく自転車に親しんでもらうことでライフスタイルを改善し、環境面への貢献をも目指しているのだそうだ。

【キャラウエイドットコム】トップページ

 同店の運営は、自転車の部品加工を行う 「有限会社クニツサイクル」 によって行われている。同社は、半製品のパイプをロボット溶接で自転車のフレームへと仕上げることが主な業務であり、完全な製造業者である。

 自社ホームページを作成することにしたのは、取引先に向けた会社案内的なサイトが必要となったためで、まだ地元のケーブルテレビ局がインターネットサービスを開始した頃のことであり、比較的早い時期からの取り組みだった。しかし、「大手企業の下請けなので、情報を公開するといっても一般的な情報は必要ありませんでしたので、ちょっと作ったままほったらかしにしていました。」 インターネットに関する詳しい知識が不足していて、その可能性に気付くのももうしばらく先のことになる。

 丁度その頃は、自転車業界でも海外への技術移転が進み、他の多くの中小製造業者と同様に、同社の仕事量も減少を続ける苦しい時期だった。そんな時、あるテレビドラマを見ていると、Tシャツを販売している主人公が新規の販路としてインターネットオークションに出品する、そんなシーンがあった。初めてその存在を知った同氏は非常に興味を掻き立てられ、早速 “ダメもと” で自転車も出品してみることにする。

 「翌日、取引先に一番人目を惹きそうな折りたたみ自転車を1台注文して、写真を撮って出品しました。その自転車が、出品3日目に希望落札価格で売れたんです!」 今であれば滅多にあり得ないほどの幸運だといえるかもしれない。「落札通知が入ったときは感動と緊張と喜びでした。『インターネットで自転車が売れる』『工場の仕事ばかりしてきた自分が初めて小売を体験した』『これはいけるかもしれない』、そんな思いが湧き上がったのを、今でも思い出します。」 同氏は、今でもこの初めての購入者の名前を覚えていて、自分を戒めるためにもよく思い出しているのだそうだ。

 ネットオークションで手応えを得てからは、ホームページ関係の本を大量に買い集め、通販サイトを開設するためのソフトを使用して、作ったまま放置してあった自社サイトをWebショップへと作り変える作業に取り掛かった。製造業者が小売を開始するのであるから、事前に不安を感じてしまうこともあったかもしれないが、「不安よりも好奇心が優先しておりました。元来、私は深く考えず実行してしまうタイプなので、面白そうなことにはすぐに首を突っ込んでしまうんです。」 と、同氏自身はワクワクしながらの作業だったようだ。

 Webショップで販売する商品は、自転車の中でも “折りたたみ自転車”と“マウンテンバイク” に特化させた。このスタイルは基本的には今も変わっていないのだが、そのきっかけは、「実は、まさかインターネットで普通の自転車が売れるとは思っていなかったんです(笑)。自分が 『これなら売れるだろう』 と考えたのが、折りたたみ自転車とマウンテンバイクだっただけなんです。」 という気軽な理由からで、着眼点としては間違っていなかったようだ。

 2002年10月ごろにようやくWebショップはオープンを迎えた。しかし、最初から順調に売上げが上がる訳ではなく、なかなか周囲からの理解を得ることが出来なかったという。「元々が工場なので、私も溶接などの仕事をしていた訳なのですが、パソコンで作業をする比率が大きくなって、工場へ顔を出す時間が減るにつれて『パソコンの前で何をしているんだ』とよく言われました。」 しかし、“いつかは事業の柱になるんだ” という強い思いをもって頑張っているうちに数字も上がりはじめ、次第に協力を得られるようになっていったのだそうだ。

 その後、様々なセミナーや大阪産業創造館が運営する 「うりうり教習所」 の受講などをきっかけに、売上げは上昇カーブを描くようになり、平均して 「月200〜300件ほど」 の受注を獲得するまでに成長してきている。

新しいサービスを積極的に取り入れる

 自らを“深く考えず実行してしまうタイプ”と分析しているように、同氏のサイトには話題となった様々な新しいサービスが取り入れられているのが見受けられる。

 流行のブログは当然のように試しており、「ブログを始めたのは、本店への外部リンクが欲しかったのと、今のサイト構築には限界を感じていたため『新しくサイト構築に使えるのではないか』という期待から勉強を始めたのがきっかけです。」 “店長の日記” として公開されているブログであるが、ここにメールマガジンのバックナンバーを掲載することで、「1週間後にはメールマガジンのクリック数を上回る訪問者になります。」 そんな使い方もしているそうだ。

 また、携帯電話からのアクセスを容易にする 「QRコード」 もトップページに設置してあり、携帯サイトの活性化を図っている。さすがにモバイルで自転車用品を購入する方はまだ少ないそうだが、「自転車が好きな人が、出先でも自分のお店の自転車用品を見て楽しんでいただけると嬉しいです。」 と、サービスの一環として続けていくそうだ。

 さらに、P2P技術を応用した次世代の音声通話ソフト 「Skype」 を使って、同氏に直接質問が出来るようにしてある点も先進的な試みだといえるだろう。しかし、残念ながらまだまだ実用的な段階だとは言えないようで、冷やかし電話が多くて実質的には機能していない状態なのだそうだ。何年か先にはこうしたサービスも当然のように取り入れられていくことになるのは間違いないが、普及期には混乱も大きくなってしまう。ユーザーへのサービスとして定着するまでには、まだしばらく時間が掛かるのかもしれない。

モールへの出店とその戦略

折りたたみバイクなど種類は豊富

 同店のWebショップのメニュー部分には、比較的目立つ位置に 「法人様向け」「大口購入」 というキーワードが掲載されている。「大口注文の表示をすることにより、引き合いは増えてきています、月に数件はお話しをいただきます。数量は1台〜数十台まで、配送方法も一括納入から個人宅への直接配送までと様々です。」 懸賞の景品用などで自転車を使うことも多くあるため、こういった法人客への窓口を設置しておくのは理に適ったことであることは間違いないだろう。

 また、元々製造業者が開設しているサイトだけに、自社オリジナル製品の販売などを企画できる点も、通常の小売業者とは違った魅力である。「去年はオリジナルのマウンテンバイクを販売して好評を得ました。今年は協力工場の都合で生産をいったん中止しているのですが、4月からは一般車(ままちゃり)のオーダーメイド販売を開始いたします。」 メーカーへOEM生産してもらう形式となるそうだが、他のサイトとの差別化となり得るサービスへと成長していくかもしれない。

 これまでの同店は、徹底したSEO対策を行うことによってアクセスと売上げを伸ばしてきた。広告などはほとんど出稿せず、「今は広告費用をモール出店へ振り分ける戦略でいってます。」 という方法論をとってきたのだ。現在、本店とYahoo!店を運営している同氏であるが、まだ 「売上げの9割は本店から」 と、Yahoo!店の売上げでは苦労しているのも、ここに理由があるのかもしれない。また、2006年4月からは楽天市場への出店も決定しており、準備を進めているのだという。独自ドメインで運営する店舗とショッピングモールの中で運営する店舗では、同じ販促手法がそのまま通用するとは限らないため、また新たに試行錯誤が必要となるかもしれない。

 同店の扱う商品数は、「現在1,300アイテムほど」 という数にまで達しているが、SEO対策としての意味も含めて、さらにアイテム数を増やし、サイト内キーワードを充実させていきたいのだという。しかし、仕入れ先からのデータはカタログなどの紙情報で来るため、これをデジタルデータに変換するのが大変なのだそうだ。この点も作業を外注するなど、いずれは作業手順から見直すべき時期がやってくることだろう。

自転車を通じて社会に貢献を

アクセサリ類の販売も増加している

 今後の同店の目標を伺うと、「皆さんへ、自転車を主軸に “生活を楽しめる提案” をしていきたいと考えています。」 という回答があった。「あと50年で石油が枯渇するといわれている現在、今のままの価値観では破綻を招くだけです。いくらガソリンを消費しない電気モーターの乗り物ができたって、石油が無くなれば自転車もクルマも服も、何も作れなくなってしまうんですから。」 エコロジーに対する関心が高まってきている中、最もエコロジカルな乗り物である自転車を見直してもらう活動を続けていきたいのだそうだ。

 「資源の無い国民は生活にどんな充実感を持つべきなのか、面白半分にクルマやオートバイなどを乗り回して無駄に資源を浪費する生活を良しとする、古いものは直さず捨ててしまい新しいものを買い換える、そんな現代の価値観を大きく変えていく必要があると思うんです。」

 「自転車にもっとみんなの関心を集めることができたら、体力増進にも繋がって、年々国家財政を圧迫する保険料の増加にも一役買うこともできるし、温室効果ガスの排出削減にも貢献することができます。そんな大きな転機を迎えている今、自転車を通じて社会に貢献をしていきたいと考えます。」

 自転車を販売するだけではなく、その楽しみ方を伝えることで、地球環境に対して何らかの貢献ができる。今はそんな時代になっているのだ。通勤や買い物用、週末のサイクリング用といった身近なところから自転車に親しんでもらい、より多くの方のライフスタイルを変えるきっかけとなるためにも、今後も同店の活躍に期待したい。

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