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2006年 7月 3日

“文章で特化する”ショップ構成 - 【えぬ倶楽部】中野剛様

家業のWebショップ運営からスタート

【えぬ倶楽部】中野剛様

 今回ご紹介するのは、サングラスやアクセサリーなどの販売を行なう 【えぬ倶楽部】 のWebマスター中野剛様だ。同氏が手がけるサイトは、ショップ全体が独特のくだけた印象の文体で統一されているため、そのトーンに拒絶反応を起こすユーザーも少なくないだろう。しかし、この雰囲気に強く惹きつけられる方も多く、“文章で特化する” という方法を用いているショップだと言えるだろう。

【えぬ倶楽部】トップページ

 同サイトは、福岡市天神で実店舗を営業している 「中野眼鏡店」 のWebショップだ。Webマスターの剛氏は、同店の直系となるのだが、実家に就職し、家業を継いでいる訳ではない。「家業は継いでおりませんし、社員でもありません。私自身は自営業として、Webデザインや運営・管理の仕事をしています。“中野眼鏡店さまから外注されて運営管理をしている”という感じです。」 家業に外部から関わっている形となっているのだそうだ。

 サイト開設は1999年12月のことだった。実家の眼鏡店の商材を用いて物販サイト 『えぬ倶楽部』 を立ち上げたのだが、同氏はその時はまだ学生だった。全く何のノウハウも持たなかったため、最初の1年ほどは苦労の連続だったという。「毎日、社長と “議論” という名の喧嘩をしていました。最初の頃は、売上が全く上がらずに日々悶々としつつ、ありとあらゆる方策を考えて、実践して、駄目で、また考えて…、という無限ループに陥っていたような気がします。今もですけどね(笑)」 しかし、次第に独自のカラーを打ち出せるようになり、現在では 「100〜200件程度」 の注文を集めるまでのサイトに成長してきている。

 また、Web制作を職業とするようになったのも、同サイトの運営がきっかけとなっている。「趣味で作ってたら、知人・友人から頼まれ始めて、それがいつの間にか仕事になっていたという感じです。『サングラスショップ えぬ倶楽部』を立ち上げた後から仕事になってきました。」 このショップを苦しみながら運営してきたことによって、同氏の活動の場が広がっていったのだ。

自らがモデルとして登場

自らがモデルとなってイメージを伝える

 オンラインショップでサングラスを販売する際に、最大の障壁となるのは、やはり “実際に眼鏡をかけてみることが出来ない” という点だろう。実のところ、Webショップ開設以前には、「やってる自分が言うのも何ですが、サングラスをネットで買うなんて有り得ないと思ってましたから。」 自らがそう思っていたほどで、決して自信を持って取り組んでいた訳ではなかったようだ。

 ネット販売のデメリットは存在するのだが、「お客様が購入される時にネックになる、『かけた感じはどうなのか?』 という点を軽減しなくてはいけません。出来るだけ、お客様に安心してお買い求め頂くにはどうしたら良いのか、ということを考えてサイトを作るよう心がけています。」 この点には最大の注意を払っているのだ。

 この難点を克服するため、同店が販売する商品には、全て横幅と縦幅の実寸サイズが明記されている。これは当然のことのようにも思えるが、意外にこんなことすら出来ていないショップが多いことに気付かされる。

 さらに、同氏自らがモデルとなり、実際にサングラスをかけた画像を掲載しているのだ。何ともユニークな見せ方であるが、「以前はマネキンでやっていたんですが、マネキンだと具合が良く分からないんですよね。自分がかけているのは、自由になるスタッフが他にいないからです(笑)」 ユーザーからは分かりやすいと好評で、やってみた価値はあったと感じているという。また、「最近は女性のお客様から 『女性がかけた感じも見たい』 というご要望が多いので、これはボチボチ考えていこうと思っています。」 

 また、“眼精疲労対策レンズ” と謳っている 『b.u.i』 という商品では、同店独自のお試しサービスを行っている。「実際に使ってみて効果が感じられなかったら、30日以内であれば全額返金をお受けしますという、“30日間返金保証” まで付けてます。なんか健康食品屋さんみたいですけど(笑)」 これはメーカーが仕掛けているキャンペーンではなく、同店が独自に行っているサービスだ。注文する前の顧客の不安を取り除くためとはいえ、そこまで思い切ったことはなかなか出来ないものだろう。既存ユーザーからの評判も良く、同氏もこの眼鏡を使用し、効果を実感しているからこそ実施できることなのかもしれない。

独特の文章で特化する

 同店のサイトを見ていくと、独特の雰囲気があることに気付かされる。これはWebショップの常識とされている “丁寧で誰にでも分かりやすい文章” という観点からは対極に位置するような、同氏の独特の文章によるところが大きい。

 例えば、眼鏡の形状などを紹介する際には 「やや横長な細めのスクウェア系 クールに知的にツンデレ風味」、顔の輪郭と似合う眼鏡の形を解説したページには 「この輪郭には何が似合うのかと小1時間」 などのタイトルがつけられているのだ。決して誰にでも通じる言葉ではあり得ないだろう。

 他にも、「Silhouetteに関してはかなり頑張れますので、『この型のこのカラーは無いのかコラ。よこさんかいコラ。欲しいんじゃいコラ』 とお思いのお客様、ご遠慮なく私にお申し付け下さい。ラインに無いのはちと無理ですが、あるものでしたらばブリブリ探して参ります (っていうか探していただきます(笑)。」 といった文章があったり、「でも、まだ商品出来上がってないみたいで、入荷してませんけどね( ;´Д`)」 こんな顔文字入りの文章が使われていたりするのだ。店長のブログなど、一部のコンテンツのみにこうした文体が用いられる例は見受けられるが、サイト全体を通してこのトーンで統一されているのは珍しいと言えるだろう。

 もちろん、サイト開設当初からこんな雰囲気だった訳ではない。「最初はかなり真面目な文体にしていたのですが、『自分で運営していて面白くもないものを、お客様が面白いと感じるはずも無いな』 と思ったんです。そこで、素のまんまで行こうと、あぁいう感じにしています。」 もちろん、ある程度の計算もある。「規模が小さい会社なので、大きな会社さんが参入して来た時に、他の販売店さんと同じことをやっていては太刀打ちのしようがありません。それで独自の路線で行こうかなと思ったのもありますね。」 大手サイトの上品さとは正反対で、小規模なショップならではの見せ方として機能しているのだ。

 「たまにドン引き系の寒いギャグを入れるのを忘れないようにしながら、自分が感じたことを素のままに書いてます。アクが強いので、嫌いな人は拒絶反応を起こされるかもしれませんが、マイナスに振れれば振れるほど、プラスにも行くんじゃないかなと。」 誰からも好意的に受け取られる文体ではないことは間違いないが、今の若年層であれば自然と受け入れられるだろう。ユーザーの間口を狭めてしまう可能性もあるが、「うちの良さを分かってくださるお客様だけが、分かってくだされば結構です。万人に受け入れられるのは無理だと思っていますので。」 ある意味では、ショップの個性を特化させる手法として、十分な効果を挙げていると言えるだろう。

 ただし、もちろん軽い文体ばかりを使っている訳ではなく、場面ごとに使い分けをしている。「ページの文体がアレなので、お客様にお送りするメールの場合は、言葉遣いにかなり気を配っています。」 このメリハリは必要だろう。

流れにまかせつつ、面白くやっていければ

アクセサリー類の販売も開始

 サングラスの販売では、常にアイテム数の多さに悩まされてきたのだそうだ。同店が扱う商品点数は 「約1,000点ほど」 で、「商品数が多く、毎年モデルチェンジしたりします。このため、作業の数が膨大になり、入れ替え時期には忙殺されるのが悩みです。」 作業的な負担も相当なものとなる。

 一般的に、ファッション関連の商品では、有名ブランド品の方がニーズが大きいのは間違いない。しかし、価格競争となってしまうことも明らかなため、同店では敢えて取り扱いをしていない。「特にDIOR・GUCCI・PRADAなどという有名ブランドの商品は、分かりやすいほどディスカウントされますので、販売していません。」 また、「ブランド品の場合、“芸能人の誰々がかけてる” という商品にお問い合わせが殺到します。しかし、ブームが過ぎるとまったく売れないという感じでして、世情によるところが大きいです。」 旬を逃さずに大量に手配して下火になる前に売り抜ける、これが出来なければデメリットの方が大きくなってしまう。

 また、現在同店では、アクセサリー・Tシャツなど、サングラス以外の商品の取り扱いを拡大させている。ショップのコンセプトに合った商材を見つけるのも大変な労力になるが、「ネットでもなんでもそうですが、自分が 『うぉ! これイカス!!』 と思ったものを作っている作家さんやメーカーさんに直接連絡をします。『是非、当店で取り扱わせてください』 とお願いして、OKを頂いたところの商品を取り扱わせてもらっています。“当たって砕けろ”系ですね。」 新ブランドの開拓は常に行っていて、今後も良いものがあれば増やしていく予定だそうだ。

 「あ、ここを見てるメーカーさんや作家さんで、『うちの商品を扱わんかいや!!』 という心意気たっぷりの御方がいらっしゃいましたら、是非、webmaster@n-club.co.jpまでご連絡くださいませ。小物・サングラス・眼鏡・アクセサリー・Tシャツなどは、いつでも大募集しております。」

 同氏の活動はさらに広がっていて、「日本列島の美味しいものがある店」 という食材を扱うショップの運営を開始。また、「まぁ、簡単に言うとですね、面白い人と一緒に酒飲みたいだけです。」という理由から、福岡県在住の若い起業家・経営者・自営業者、アーティスト等の横の繋がりを目的とした 「F-UNION」 という団体を立ち上げるなど、色々な方面での活動を行っている。

 「今後のことは色々考えていますけど、その時その時で色々なことがあると思いますので、流れにまかせつつ、面白くやっていければ良いかなと。」 全てに共通しているのは、自らが面白いと思うことを最優先させるている姿勢だろう。独自のブランドの立ち上げなども視野に入れながら、より面白い方向へと進んでいくに違いない。

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