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2007年 2月13日

「ドロップシッピング」でのショップ運営 - 【インドカレー工房】浮城隆様

あくまでも“無在庫販売”にこだわって

【インドカレー工房】浮城隆様

 今回ご紹介するのは、今話題のドロップシッピング形式で【インドカレー工房】を運営し、その体験を活かして「ドロップシッピングコンサルタント」としての活動も行っている浮城隆様だ。同氏の手法は、以前からあった「Webショップ運営代行」に近いものだ。しかし、商品の製造・発送と商品受注を分離した“直送販売”という形を実践し、成功を収めている例はまだ少ないだろう。その体験談を書籍としても出版している同氏から、ドロップシッピングサイトの運営の秘訣や苦労話などを伺った。

 同氏は現在のショップをオープンするまでに「花卉業界」という全く違う畑を歩んできた。「大学農学部 → 北海道の花農家で住み込み → 花の小売店でバイト → 花の卸売り商社の営業マン、と花一色の半生を歩みました。」 独立志向が強かったため、2004年2月に独立。お客様から1束単位で花束の注文を受け、それから提携先の生花店に発注する“無店舗無在庫の花屋”として活動を始めた。しかし、このビジネスは広告費と配達費の負担が大きく、わずか半年で撤退することとなる。

 この失敗の最大の要因は“低単価”であったと分析した同氏は、同年12月に「胡蝶蘭」を無在庫で販売するネットショップの運営を開始する。胡蝶蘭とは、 開店祝いや高級飲食店に飾られるような、花の中で最も単価の高いもので、先回、低単価商材で失敗したためその逆を狙ったのだ。

インドカレー工房

 しかし、これにも問題があった。「胡蝶蘭は大きく、特注の箱で出荷するため、送料が1個2,000円くらいかかっていました。引越し便になる大きさを無 理に普通便にしてもらっていたので、運賃交渉もできませんでした。」 元々の単価が高い上、高い送料に対する抵抗感も大きく、注文が続かない。このビジネ スからも半年で撤退を余儀なくされたのだ。

 このように、同氏の独立開業は失敗の連続から始まった訳だが、無在庫販売ということもあり、それほど傷口は大きくならなかったようだ。「ネットの可能性 は分かった。しかし、商材としてまず必要なのは“リピート”。それから“運びやすいもの”。」と、すぐに次の展開へと目を向けていったのだそうだ。

 そんな時、ある転機が訪れる。インドカレー店に勤める同氏の義理の姉から、ネットでカレーの販売を行なわないかという話を持ちかけられたのだ。「姉のカレー屋は、地元では有名な創業16年の老舗。ネットの可能性は理解しているものの、田舎であり、かつ従業員の平均年齢も高く、自分たちでネットショップを 持つことはできないという状況でした。」 以前にそのカレーを食べた経験もあり、その味には自信を持っていた。「『あのうまいカレーならリピートは確実。 商品もみかん箱タイプのダンボールに入れて出荷できるから、そんなに高くならないはずだ。』と前向きに考えていました。」

 そして、やはり最終的な決め手になったのは、次のような申し出があったためだった。「『在庫はカレー屋で持つ。注文が入ったら1個単位で直接お客様に出 荷する。』という条件で提携を持ちかけられましたので、契約することにしました。」 この時点では自らのリスク軽減を計っただけであったそうだが、まさに ドロップシッピングの一形態であることは間違いない。

 サイトの開設は2005年6月。ここでもまた試行錯誤を繰り返し、大変な思いをしたこともあったという。「サイトを作っただけ、モールに入っただけでは 売れません。商材選びから集客・販売、全てを分かっていませんでした。今は体系だてて考えられますので、あのころの自分に教えてあげたいです。『いま優先 するのはこれだよ!』と(笑)」

 しかし、それから2年も経たないうちに売上げは急伸し、「月商200万、注文件数は450件ほどです」というところにまで成長させた。「ショップの運営 は、基本は私ひとりです。どうしても外出などで応対できないときは、妻にメールをお願いするときもあります。」このような体制のショップとしては、驚くべ き成長率だろう。

後発ショップが売上げを伸ばすために

 ここ最近、カレーに関しては「北海道スープカレー」が話題になったぐらいで、特に目新しいニュースなどはない。その状況下で、同店のカレーが売上げを伸ばしている秘訣を伺うと、「まずは“おいしい”ことが第一でしょう。カレー屋のUSP(一言でいうメリット)は、『インド人が本場のレシピとスパイスで作るカレー』です。正直、私は味にうるさいのですが(笑)、何度食べてもおいしいです。」 やはり味に自信がなければ売上げが伸びるはずもない。

 同店は、楽天市場へも出店しているが、後発ショップとして、次のような点に気をつけているという。「現在、楽天市場で検索すると『商品のレビューを書いていただいた件数の多い順』に商品が表示されるようになっていますので、1点の商品を集中して売ることですね。私は『お試しセット』を重点にしていまして、結構早くから“インドカレー”で検索すると一番に表示されるようになりましたし、現在は“カレー”でも13番目くらいです。」 検索結果には「カレイ」とか「カレー味」というノイズも含まれてしまうそうだが、この方法は非常に効果的だったようだ。

 さらに、ユーザーから支持を集めている要因を分析していただくと、「お客様からのメールやレビューを見ていて感じるのは、“メール返信の早さと親しみ” です。早さと言っても24時間以内なら、大丈夫なようです。どうやらサンクスメール(注文後の店舗からの確認メール)を出さないところが結構あるらしく、普通に返信するだけで“信頼できる”となるようです。」 基本的なことに思えるが、ここを疎かにしているショップが増えてきたことの表れなのかもしれない。

 また、「2回目の注文のお客様へのサンクスメールは『引き続きご注文いただき、ありがとうございました。先日のカレーはお口に合いましたか?』で始めますし、3回目以降のお客様へのメールタイトルは『いつもご利用いただき、ありがとうございます』で送ります。もちろん、注文時の備考にコメントを書いていただいた時は、サンクスメールでそのことに触れます。」 以前と比べてショップ運営を行う環境は便利になってきている。多少気を抜いていたとしても、システム上で事務的に処理してくれるようになった。そんな時期だからこそ、ほんの少し人間の手を加えた応対を行えば、強く印象付けることが出来るようになるのかもしれない。

ドロップシッピングでの苦労とは

同氏主催の「ドロップシッピング研究会」

 無在庫でのショップ運営が可能となるドロップシッピングだが、やはりそれ相応の難しさを痛感することもある。義姉が勤める店舗との提携であっても、「商品や出荷方法が、完全に自分の思い通りには、ならない(なっても時間がかかる)ことですね。」このような歯がゆさを感じてしまうのだそうだ。

 「通常は、同じカレーを2食1セットで売っているのですが、『お試しセット』を作るにあたって、私は違うカレーを1食ずつ2個入ったセットを作りたかったのです。しかし、なかなか理解してもらえませんでした。」 これが実現したのは、ある程度まで商品が売れ始めてからのことだったという。やはり実績を残さなければ意見を受け入れてもらいにくくなるのも致し方ないことなのかもしれない。

 また、同店ではいまだにギフト用の梱包には対応できていないそうだ。「今はダンボールに直接、ビニールにくるまれたカレーやナンを入れているのです。『ギフトとして送るには、もう少し見栄えをきれいにしたい』と1年以上前から言っていますが、まだ実現しません。」

 ネット通販を開始すると、お客様から様々な意見が寄せられ、店舗運営や商品開発の大きなヒントになる。しかし、ドロップシッピングという形態では、商品供給者とユーザーの間にワンクッション入ってしまうため、どうしても反応が鈍くなりやすい。真摯に受け止めるべき意見であっても、どこか他人事のように感じてしまうこともあるはずだ。

 もちろん、同店でも「お客様からの要望・苦情に加え、お喜びの声があれば、必ずメールで転送します。これらは共有すべき点だと思います。実際、お試しセットは2食別のセットになりましたし、タンドリチキンも濃い味になりました。マンゴーラッシーもお願いして商品化しました。」と、情報の共有化には取り組んでいる。「商品開発も、随時お願いするようにしてはいますが、経験上“商品開発にはお金がかかる”と知っているので、ほどほどにもしています。」 やはり自社商品を販売するのとは違い、自らの手で全てをコントロールして、完全に思ったようなショップ運営ができる訳ではないことは理解しておかなければならないだろう。

 またドロップシッピングに取り組むと、商品の受注先と発送先が違う住所となるケースも多いはずだ。同店の場合、大阪で受注して愛媛から発送される形となり、運営ももちろん別会社となっている。ここに違和感を感じるお客様はいないのだろうか。「問い合わせは皆無です。最も違和感を感じていたのは私自身だったようです。」 不安を覚えたユーザーは他のサイトへ逃げてしまっている可能性もあるのだが、特に質問が寄せられることもないのだそうだ。「私も『カレー屋は他社です』とあえて言わず、サイト上では“店舗のネット販売部門”と受け取っていただけるように表現しています(もちろん、ウソの表記はしていません)。」 これからドロップシッピングに取り組む方にとっては、安心できる言葉だろう。

「ドロップシッピングコンサルタント」としても活動

成功の秘訣などを書籍として出版した

 こういった経験を活かして、2006年7月、同氏は「ドロップシッピング研究会」を立ち上げた。そのきっかけは、「私自身、ネットでモノを売るのに苦労しましたし、多くのお金も失ってきました。今からネットビジネスを始める方が、同じ失敗を繰り返さなくてもいいと思ったからです。」 というものだそうだ。すぐに大きな反響があり、2006年10月には大阪府枚方市主催のドロップシッピングセミナー講師を、さらに2007年2月には『はじめよう!ドロップシッピング ―ネットショップの新しいカタチ-“ドロップシッピング”の魅力のすべて! 』という書籍を上梓している。

 この研究会は“会員制のコンサルティングサービス”のようなシステムとなっており、「会員様にはメールや紙媒体で、現役ネットショップ店長としての私の売り方をベースに最新のノウハウを提供します。」 すでに無料メルマガ「1日30万!現役店長が語るドロップシッピングで稼ぐ方法」の会員数も5,000名にまで達しており、その注目度の高さが伺える。

 コンサルタントという立場から業界を見ても、「ドロップシッピングという言葉自体は、今年もっとも盛り上がりを見せるでしょう。そして『アフィリエイト』のように、ネットの中では当然の言葉として定着すると思います。ドロップシッピングプロバイダも多くなっていますし。」 これからさらに一般的に認知されていくことは間違いないようだ。

 「“ほとんどリスクなくビジネスができる”って、素晴らしいと思うんです。多くの方に興味を持っていただきたいと思います。朝、発注メールを提携先に送り、夕方提携先からの商品伝票番号メールを受け、お客様に出荷完了メールを送るだけですべて完了。今勤めている、バイトしているところを続けながら商売できるわけですから。」

 これからの同氏の活動予定を伺うと、カレー店では「Yahoo!ショッピングへの出店」「携帯での販売への取り組み」、ドロップシッピング研究会では「今年中にあと2冊の出版」「随時セミナーも開催」と、多忙を極めている。『もし新たな企業からドロップシッピングでのショップ運営の依頼があったら?』という質問をぶつけてみたところ、「しばらくは多忙になりますので、私は取り扱えないでしょう。しかし、5,000名の会員様はドロップシッピングでネットショップを運営したい方ばかりなので、提携の話があれば情報として提供したいと思います。いつでもご連絡ください。」とのことだった。

 今後、ますます広がりを見せるであろうドロップシッピングだが、その中で同氏が大きな役割を果たすことは間違い無さそうだ。

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