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注目!のwebマスター

2007年 6月12日

タイトル “ずっと変わらない”という安心感 - 【宮田織物】吉開ひとみ様

社長の鶴の一声でWebマスターに

【宮田織物】吉開ひとみ様

 今回ご紹介するのは、久留米絣の流れを汲むオリジナルの「和木綿(わもめん)」を使った製品の製造・販売を行っており、綿入れはんてん・作務衣・甚平・和木綿の婦人服などをインターネットで販売している【宮田織物】のWebマスター吉開(よしがい)ひとみ様だ。サイト開設が1998年という、今やWebショップとしては老舗というべき存在でもある。ネット通販が登場して間もない頃から、試行錯誤を繰り返しながらショップ運営を続けてきた方であり、その苦労話なども伺っている。

 同サイトを運営している宮田織物株式会社は社員数約60名、大正5年創業の歴史ある企業だ。福岡県筑後市から、同社オリジナルの「和木綿」素材を使った衣料品などを製造し、全国の百貨店・専門店への卸販売、インターネットでの小売販売などを行っている。

宮田織物トップページ

 和木綿とは、同店のオリジナルの素材だ。「糸から選び、織りに工夫し、柄を凝らし、毎シーズン数百種類以上もの試織を繰り返し、絞り込んで選びます。始まりは、先達の遺産であり、地場産業である“久留米絣”の持ち味に習ったものでしたが、現在はそこから進化し、風通織りやからみ織りなど、伝統の織りを取り入れつつ、宮田織物独特のものに仕上げています。」 伝統の織物にアレンジを加え、今の生活にも取り入れやすい素材となっているのだ。

 そんな同店が、Webショップ運営を開始したのは、1998年10月だった。今から10年近い昔のことであり、まだネットショッピングが一般的ではなかった時代のことだ。

 そのきっかけは、「実は、宮田織物は私の実家ですが、父である社長は昔から大変な新しい物好きで、何かの雑誌でインターネットのことを知ったんでしょうね、『これからは、インターネットだ!』と。で、『うちの会社にもホームページを作ろう!』と無謀にも思い立ったわけです。」 とのことで、単なる思い付きともいえるものだったという。

 まだインターネットの黎明期のことでもあり、社内にホームページ作成のスキルを持った人材がいるどころか、そんな作業が出来るのは一部のプロだけだと思われていたような時期である。明らかに無謀なミッションだったのだが、「そこで白羽の矢が立ったのが、私の弟でした。別の会社に勤めていて、しかもネットサーフィンを楽しむ程度の知識しかなかったのですが、勉強して夜なべで作ってくれました。」

 こうして同社のホームページが開設されたのだが、ウェブマスターも決まっていないような状況で、単にページがアップロードされていただけという状態だった。これでは繁盛するはずもなく、半年間の注文はわずか1件、「しかも、今考えると、どうも未集金の気がします…」 と、社長をガッカリさせる結果となってしまったのだ。

 「この状態に業を煮やした社長が、また鶴の一声。今度は、私に白羽の矢が…。しかもその理由は『キーボードを使えるから』。。。当時、私はCADでテキスタイルデザインをしていて、コンピュータを使っていました。社長の目には、キーボードが使える=パソコンができる=ホームページが作れる だったようです。」 今となってしまえば、これは正しい人選だったのかもしれないが、当時はそんなことを知る由も無い。弟さんに教わったり、本を買いあさって学んだりして、さらに半年後の1999年10月、ようやくホームページをリニューアルすることができたのだ。

 「それから、九州ウェブサミットの掲示板に書き込んだり、いいものショッピングモールや、OSMCに参加して、先輩店長さんたちからたくさんのことを教わりました。ページの作り方や見せ方はもちろん、検索エンジン登録のコツや、メールマガジンの配信など、貴重な情報を惜しげもなく教えていただいて、本当にありがたかったです。」 まだWebショップ運営のノウハウが完全に確立されていないような時期のことであり、こうした横の繋がりが非常に重要だった。

 これをきっかけに、徐々に受注も増え始めた。当時、売上げへの影響も大きかったオンラインショップ評価サイト「日経ベストショップ」上で“四つ星”という高い評価を受けたり、中高年に幅広い読者を持つ雑誌「サライ」に掲載されたりと、次第に注目が集まってくるようになる。やっと利益が出るようになって、「『ホームページで売れるはずがない』という雰囲気だったのが、『ホームページは営業の大事な柱』という見方に変わりました。」 と、社内的にも認められるようになっていった。

本店・支店の品揃えを変えて使い分ける

婦人服が中心の楽天市場支店

 サイト開設当初は、同社の主力商品が綿入れはんてんだったこともあり、Webショップの商材も「綿入れはんてん」と「作務衣」がメインだった。一時は、作務衣を着ている方の姿など全く見られない時期もあったように思えるのだが、ここ数年、量販店などでもよく目にするようになってきている。「現代は、和が見直される風潮にあり、作務衣の良さも再発見されたのではないかと思っています。加えて、若手の芸能人が映画やコンサートで着たことなども、効果があったかもしれません。」 こうした点からも、同店のWebショップ開設はいいタイミングだったと言え、またブームの火付け役として一役かっていたのかもしれない。

 しかし、2001年頃になると、会社の主力製品は和木綿を使った婦人服にシフトしていた。対象となるユーザー層が変わってくるとは言え、本店はすでに一定の認知を得ており、ここの商品ラインナップを拡充するという方法も考えられたはずだ。しかし、同店は2店舗目の出店を選択、2001年7月に楽天支店を開設した。

 「当時、楽天市場が“女性に強いモール”というイメージだったので、楽天市場に出店することに決めました。婦人服としてはうちは無名だったので、楽天市場に出店しているということで、お客さまに少しでも安心感を持っていただきたかったのです。」 楽天市場が急拡大していた時期でもあり、妥当な選択だったと言えるだろう。さらに出店の際には、「実は“簡単に開設できる”という点も大きな魅力でした。」 そんな理由もあったとのことで、まさに最善の選択肢であったに違いない。

 男性向け衣料品販売とはまた違った、婦人服販売ならではの難しさを感じることもあるそうだが、現在も順調に運営が続けられている。

 さらに、2004年5月には「作務衣(さむえ)」をメインとした、Yahoo!ショッピング支店を開設する。同社の3店目となるが、「“男性に強いモール”というイメージもありましたし、Yahoo!の検索エンジンから『作務衣』でお客さまに来ていただくのに、Yahoo!ショッピングは外せないというのが出店理由です。」

 

 現在、Yahoo!で「作務衣」を検索してみると、約75万件のサイトがヒットするほどの激戦区となっている。男性客がメインターゲットの本店に近い商品構成となっているため、一見、敢えて出店先を増やすメリットは薄いようにも思える。しかし、中高年男性の検索エンジンの使用状況調査などを見てみると、Yahoo!の強さは圧倒的であるため、ここを取りこぼさないようなオペレーションも必要だろう。

運営方法は以前とあまり変わりはなく

一番の売れ筋「作務衣」。全て自社一貫生産とのこと。

 Webショップ運営を始めてからすでに8年が経過している同店。その間、インターネットでのお買い物が特別なものではなくなりつつあり、大規模なECサイトがどんどん登場してきていることを感じていらっしゃるとのことだが、同店の運営手法にはそれほど大きな変化があった訳ではないという。サイトの告知もそれほど積極的に行っている訳ではなく、PPC広告に出稿している程度なのだそうだ。

 ショップの歴史を感じさせるかのように、同店には「作務衣体験記」「手作りギャラリー」など、ユーザーからの投稿が多く寄せられており、購買意欲を掻き立てる、非常に充実したコンテンツとなっている。これは特別な告知などをしている訳ではなく、「最初は、お客さまからお写真を送っていただいたので、『せっかくだからホームページに載せさせていただこう』と始めたら、あっという間にたくさんのお写真をいただきました。うちの財産です。」と、地道に積み重なってきたものだそうだ。

 商材の良さをユーザーに伝えていくために、普段から「お客さまが“作務衣を着ている自分”をご想像いただけるような写真を心がけております。」と、イメージしやすい画像を掲載することを意識しているという。そういった店側の姿勢がユーザーにも伝わり、作務衣姿の自分を写真として残したい、みんなに見て欲しい、こんな心理状態となるのかもしれない。

 これをさらに推し進めて、将来的には『WEB試着室』のようなものを実装してみたいという考えもお持ちのようだ。しかし、「あまり最先端の技術は、うちのお客さまには必要ないような気もしますが、お客さまのご要望を組み入れていきたいです。」との思いもあり、時機を見ながらの導入となるだろう。

 また、今後の予定としては、「うちはメーカーで、卸もしておりますので、連動させたシステムを検討したいと思っております。」 さらに、「ホームページの役割は、物販・宣伝・情報収集です。さらにそれらに磨きをかけて、“ブランディング”の役割を持たせたいと思っております。」と、色々と計画なさっているようだ。

 今や老舗Webショップとなった同店が、これからも今のスタイルを守り続けいくのか、ガラッと変化してくるのか、期待して見守りたい。

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